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いっつも思うんだよなあ。綿か何かを詰めて手袋すれば、わからないんじゃないかって。ダメか。動きが不自然だろうし。そもそも『ない』んだから、動くわけがないんだし。 でも何も詰めないものだから、いつも小指の先だけがぴろぴろしてる。それでお客様には…

詩-168

コートを羽織り しゃがんで革靴の紐を結び 帽子をぐいと被り 立ち上がったならば戸を開ける 見上げた青と白とのマーブル模様が じわりと目にしみる、 まるで指先でくゆらせた 葉巻の煙のように 見えないこと見せぬこと 消えること消せることを 私に許可して…

詩-167 大丈夫

あなたが あるいはこのわたしが 目の前にあるこのはしごを わき目もふらず 一直線に登り詰めようと それとも中途で腰が抜けて じたばたおどおど助けを待とうと それともやけっぱちになって はしごの最下段で飲んべえになろうと あなたとわたしが空を見ている…

『ミニマリスト』の捉え直し

さあさあ。 よくもまあこうもブログ更新をサボっていられるなあと、自分でも呆れ返っている今日この頃、ふと思ったことを文字通りほんの少しだけ記しておこう。 世間ではミニマリストというのは、恐らく、余計な物事を手放し最少・最低限度のもので生きると…

元気ない10月の空のもと

『世の中では一般的に~』 『社会では、~するのが正しいこと・良いこととされています(なので私はそれを実行しています)』 こういうことを平然と言える人というのは、『恐らく』平均的に幸福な者であり、そして最も不幸かつ空恐ろしい存在でもあるように…

哲学と座礁と自然と

相も変わらずコロナ、コロナの毎日だけど、自然の多い場所へ行きたい。 ふと思う。 人が人らしく生きていくためには、ときには哲学に依存しなければならないかもしれないし、またときには哲学そのものをかなぐり捨てなくちゃならないかもしれない。 言語・思…

詩-166 具材

私は具材 カルツォーネや シェパード・パイみたいに 生地に包まれた具材 人参や玉ねぎや豚のひき肉みたいに 小さく小さく刻まれてしまった具材 絞られて 封じられて 押し込められて 上から潰された 中身 たぶんそれなりの味を期待されるだろうけれど 残念な…

感謝するなら一度だけ

20代後半頃からか。 SNSの普及に伴って、求めてもいない情報が過剰に自分のもとに届くようになった。 そのなかでも、(振り返ってみると)自分に最も重たくのしかかったのが、自己啓発・メンタルアドバイス・開運の法則的なもの。 とりわけ、『感謝』にまつ…

適切な言葉を回す

頑張ってくださいとか、 頑張りましょうとか、 もっと意識を高く持ちましょうとか、 いつも笑顔で明るく前向きにとか、 負けないでとか、 強く生きようとか。 それよりも私はただ 『どうしたの?』 と聞いてあげたい。 誰かのもとに間違った言葉が届いてしま…

『天賦の才能』

もしも自分に天賦の才能なるものがあるとすれば、それは 『人間であろうとして引きとどまり続けている』 ということだろう。 このことについて他人から『それってどゆこと?』と、具体的な説明なり描写を求められても、私にはうまく応じられない。なぜって、…

キェルケゴールの『ギーレライエ反省』

キェルケゴールの日記のなかでも最も有名な箇所のひとつ、『ギーレライエ反省』と呼ばれる部分を繰り返し繰り返し読んでいる。 私はつい先日、英語版キェルケゴール日記集を中古購入したのだけど、いかんせんこちらは全集ということで分厚い&重い! なので…

詩-165 現存の書

真に悲しみにうちひしがれる者の前では口を慎み、 彼らから君の内へと伝わる流れを知り、学べ。 けれども君の沈黙が、誤解や彼らの重荷にならないように。 金をむしり取る教会へは行くな、 君らの真心までもが絞り尽くされる。 瞬間、という、小さな小さな点…

同じこと

人は絶望の境地にあるとき、うずくまって両の手を組む。 そうだ。 だから絶望とは祈りであり、光を掴むために戻る瞬間なのだ。

試し

(解離性同一性障害により、男性人格として主語は『俺』を用いています。読みたくない方はスルーなさってください。) ちょっと試してみたいことがある。 貧乏に見せかける。そして今持ってるもののうち、何かを手放す。 これによって周囲の反応はどうなるか…

なりたい自分になりつつあること

はてこれは不思議だなと思うことがある。 何だかんだ言いつつも、私という人間は、なりたい自分になりつつあるんだな、ということだ。 いつからそういう変化が始まったのかは、厳密には当然のことながらわからない。 ただ思うのは、 周囲から身体的・心理的…

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『あなたってあのお店でも妖魔って呼ばれてるのね、』 レイチェルはカラカラ笑いながら、隣を歩くマーティン・レイノルズに言う。ふたりはスキャルケイル市内のとある古書店を出たばかりである。 『ただあのお店の人も、失礼だけど古本屋の店主にしては随分…

『私』と『信じること』

信じるということそれ自体、他でもない『私』自身が自身の生活や存在すべてを賭けて為す行為だと思う。 だから、もし何かを信じたところで結局最後の最後に何も得られなかったり何も実らなかったとしても、その『私』の情熱を茶化したり無駄だったと嘲笑する…

詩-164 ランドノーティング

僕は笑って願った、 何も見えない今から 何かが見える次へ そして心に小さな小さな 淡い色の花を ブローチみたいに留めた 僕は『さあ、ものは試しだ』と 黒のブーツを履いて 歩き出す 微笑みをくれるもの 泣きたくなるもの もっともっと知りたくなるもの そ…

詩-163 いとしいもの

いとしいものを眺めると 笑みがこぼれます いとしいものを想うと 涙が流れます これらいとしいものはどれひとつとして 私の輪の中には入ってこないし 私もこれらいとしいものの輪の中に 入れたためしはありません けれども私は泣くのです 胸を焼かれて 泣く…

『死に至る病』

死に至る病。 真の死とは何か。 永遠性を信じないこと。 光を拒み、希望を絶つこと(絶望)。 神から分離すること。 つまりは、罪。 それも最も大きな罪。 一般的な意味での自殺とは異なる、クリスチャンにとっての、自殺と言えよう。 (そしてどんな形の死…

美と死と永遠

真に美しいものは、永遠のなかに閉じ込められつつあるか、あるいは既に永遠のなかに閉じ込められてしまっている。 だから本当に美しいと思わせるものには、死の香りが漂っていたり、死の影がまとわりついていたりする。 つまり、最低限一度は死んでいる、と…

眼差しに見る官能性

どうなのだろう。 わからない。 世間一般で言うところのエロスというのは、単に人と人との肉体的性的結合しか目指していないのだろうか。 官能性というのは、単に受け手に性的欲求や興奮をもたらすという意味でしかないのだろうか。 私にとっての官能性とい…

恋というもの

私にとって恋というものはいったい何か。 それは死を想起させるほどに狂おしくまた美しく、いつだって最初で最後の輝きを放つものであり、 絶対的かつ強靭な意志の力や知性によって光ほどの速さで突き抜けるものであり、 永遠を一直線に求めるものである。 …

実は心の平安は求めない

常に心のなかにイガイガ感があったり、濁った渦が見えたり、その渦のなかに自分も自分の心底憎む誰かをも陥れたいと思ったりする、そんな沈殿しまくったしょうもない状態が、実は生きていくのに最も力をくれたりする。 Catherine Anne Davies & Bernard Butl…

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『えっ。あれ。なんで?紙入れがない!』 マリオン・レンは慌てふためいてジャケットのあちこちに手を触れるが、紙入れとおぼしき物はどこにもない。ズボンのポケットを裏返してみても、見つからない。カバンのなかを掻き分けてみても、飴の包み紙こそ出てく…

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4月初旬のとある夕方。激しい雷雨。雨合羽姿のひとりの女性がアパートの階段をゆっくりと昇っていく。2階の最も奥の部屋、6号室にたどり着くと、女性は鉄製のドアノッカーをコンコンコンと軽く鳴らす。外からは雷鳴と風の音が入ってくるが、ノックの音が…

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『せっかく仕立ててもらったのに、着ていく所がないんだからねえ』 マホガニーのスツールに前かがみに腰かけ、熱い珈琲をすすりながら、マーティン・フラン・レイノルズ教授は農夫のセルゲイと仕立屋のパトリック相手にぼやく。開け放った部屋の白い格子窓か…

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聖母マリアの黄金の花、黄金の花、黄金の花。 僕は山高帽を深くかぶり、1本、1本、茎から摘む。 空は広く、流れてゆくちぎれ雲は10月の白さを保っている。 草むらと空とに挟まれた僕は、なんとなく押しつけられて息苦しい。 太陽は強がらず意地悪もしない…

高温多湿dayの短いひとりごと(角膜の傷を言い訳に)

頑張ってください、頑張りましょうって、本当に嫌な言葉。 まるで「あなたは今のままでは駄目だ、努力が足りない」と言われているみたい。実際、そういうことなんだろう。 既にこちらは年単位、十年単位で静かに黙って努力を継続しているのに、その内面性を…

詩-162 見かけ

あなたはサイボーグ 表面がつるりとして くすんだ銀色で 太いパイプみたいに 直立してる だけどその体内には たくさんの工場があって せわしない生産活動が 太陽のもと 繰り広げられてる 時計工場、 鍛冶屋、 印刷工場、 それから食肉加工場まで 汗 埃 熱 ギ…