2020-01-18から1日間の記事一覧

詩-68

人は獅子に言う、 お前のようながらくたを 愛する者など現れないと お前のような愛のない空箱を 愛でる者などいやしないと だから獅子も言い返す、 俺に愛を与えられなかった者が なぜ今 俺の前で愛を語るのかと 獅子の瞳と牙は 憎しみの源を求めて 探り続け…

詩-67

私は月になって 太陽に毒牙をかけて 殺したい 強く妖しく輝いて 闇を潰したい この力で救えるものが 私自身なのだとしたら この世のすべての笑顔を切り裂いてでも 傷つけて 奪って 憎しみ抜いて 真夜中の山頂に立って 大地に短刀を突き刺したい この世の愛な…

詩-66

ビロードの暗闇が欲しい 嘘をつく必要もなく 心臓を走らせる必要もなく 無駄な言葉を 吐く必要もない 黙って私を認めてくれる誰かと この闇に落ちて 沈んで 消えて 幸せになりたい 私の幸せを壊さぬ誰かと共に 世界に背を向け 世界を壊して 幸せになりたい。

詩-65

小さな湖で 小さな舟に乗り とぽん たぽんと 揺れる 口にくわえた万年筆の インクと金属の味 風に乗って落ちた木の葉が 水をかくオールに絡みつく 僕は先の尖った孤独を知る まるでその刃先が 頭を貫くほどに まるでこの舟に乗ったまま 昏睡状態に陥るほどに…

ひけらかしは、しない

私は元来、古風な人間だったのだろう。 黙っているほうが好きな人間だった。 大人になるにつれて、ひけらかしをする人間が周囲に増えた。馬鹿にされても耐えて黙っている私を、まるで知的障害者か何かのようにより一層馬鹿にする者もいた。それで私は純粋に…

詩-64

あなたがあなたでないことを 喜ぶ人がいる あなたがあなたにならないことを 願う人がいる あなたがあなたになろうとしたときに あなたを捨てたり叩いた人がいる あなたがあなたでなかったことすら 認めない人がいる 誰からも愛されなかった あなた いつも独…

詩-63

平凡な男の歌う歌を 私は聴きたくない 饒舌な男からの恋文を 私は読みたくない 山小屋に篭もる陰鬱な男の目を 私は見たくない けれど 針葉樹に囲まれた湖畔に佇む 背の高く黒い衣の男の後ろ姿を 私はずっと 見つめていたい その心に潜む もうひとりの男を 私…