詩-33 釣り

青空には ちぎれ雲

葦の香りと 輝くてんとう虫

僕は西風に撫でられながら

川べりに腰を下ろし

水面に釣り糸を垂れた

誰もいない、

さわさわと踊る風の音と

遠くに見える数頭の羊の 

平たい鳴き声だけが

僕の瞬間の裏を飾る

左、右、手前にと引っ張られる浮きを

黙って幼な子の目で 眺めた

何かが水面を突く合図で

竿を引くと

小さな小さな 魚(うお)が獲れた

その目はきらきら黄金色に輝いて

鱗は虹のように鮮やかだ

平たい身は

力強く引き締まり

ぴちぴちと 宙に跳ねている

僕には

この一匹がすべてに見える

力が 新しさが 純粋さが

僕を選び 僕を釣ったのだ

だから僕は青空を見上げて

ちぎれ雲に言った、

これでいい、僕はこれから これでいい

これがいいのだ、と。