それは初めから決まっていた、
あなたのために
一直線に用意されていた
真夜中の 春の波止場
海は意気地なげに呼吸をし
灯りは美しいのに
それぞれの世界に閉じ籠もり
どれ一つとして 生きていない
あなたはそんな寂しく眠たい景色のなかに
立ち止まる必要などなかった
疑ったり
惑う必要もなかった
安心して
歩いていれば良かったのだ
さあ
今も残る 疑いと惑いの欠片を
静かに 心静かに 壺に収めよう
あなたはただ
歩いていればいい
初めからしつらえられていた
あなたにいちばんふさわしい流れに沿って
まっすぐ歩いていけばいい
それだけのこと、
ただそれだけのことなのだ。