詩-52 父なる神

ほら

鏡で見てごらん

君も僕も

『いまだ放蕩息子』

つぎはぎだらけのツイード上着

ぼさぼさの髪

口を固く真一文字に結び

目は怒りとやりきれなさで潤んでる

下を向けば 穴の開いたボロ靴に

ネズミがかじったようなカーペット

僕らはいったい こんな姿でどこを旅して

どこからいつ引き返して

どんなふうに入ろうとして入ったのか、

僕らの父さんの懐に?

そして入ったあとも

僕のような小心者の悪ガキは

毎日髪の毛を掻きむしりながら

あっちへふらふら

こっちへふらふら

ベソをかいて駄々をこねるんだ、

申し訳ないと思いつつ

でも

わかっているから駄々をこねるのさ

僕らの本当のお父さんは

こんな悲しい 寂しい利かん坊も

誰ひとりとして取り残さず

その無限の懐のなかで 愛してくれるはずと

だから僕は

たとえ何度となく

このボロ靴を履いた足が 西を向いても

何とかして東に向きを変えられるよう

騒がしい心に諭して 泣き 笑い 沈黙して

今日のこの日に 向き合えたらいいなと

夜明け前の部屋で 祈っている。