詩-58 ヤジロベエ

下は燃えるぬかるみ道ですが

わたくしはこの二本の脚を交差させて

ひとつの点に立とうと思います

 

ありがたいことに

わたくしには腕がある

だからこの両の腕を 大きく広げ

悲しみと病と

すべての虐げと辱めとによって

重く固く膨れた腹のまま

か細い脚で ひとつの点に立とうと思います

 

ふらつき ぷるぷると震え

脚を絡ませたまま 倒れそうになれば 

『拙者の命は さにあらず』と

世に向け空に向け

涙の雫で 静かに歌ってみせましょう

 

そしていつか

埃まみれの 老いやつれた体でもって

ルルルと穏やかに笑いながら

青空の下 右に左にと

乾いた風に揺れると良いでしょう

その頃には この燃えるぬかるみ道も

きっと乾いているはずですから

 

このようにしてわたくしは

生きるのです

 

このようにしてわたくしは

生きてゆくのです。