詩-65

小さな湖で

小さな舟に乗り

とぽん たぽんと 揺れる

 

口にくわえた万年筆の

インクと金属の味

風に乗って落ちた木の葉が

水をかくオールに絡みつく

 

僕は先の尖った孤独を知る

まるでその刃先が

頭を貫くほどに

まるでこの舟に乗ったまま

昏睡状態に陥るほどに

 

僕は引き返せなくなったのだ、

陸へも 町へも

こんなに小さな湖なのに

僕は引き返せなくなったのだ、

悲しみが怖くなったから

物語の展開に 

失望させられるばかりだから

 

だからこんなふうに

とぽん たぽんと揺れて

かつての景色に胸をえぐられながら

少しでも物語を書き換えようとして

ただひたすらに ここにいる

湖の底に沈むのも覚悟で

ただひたすらに 僕でいる。