人は獅子に言う、
お前のようながらくたを
愛する者など現れないと
お前のような愛のない空箱を
愛でる者などいやしないと
だから獅子も言い返す、
俺に愛を与えられなかった者が
なぜ今 俺の前で愛を語るのかと
獅子の瞳と牙は
憎しみの源を求めて 探り続ける
太い束となった尻尾を振り
飛びかかり 爪を食い込ませ
獲物を食い殺す
引きちぎられた肉と
剥き出しの骨には
やがて蠅が群がるだろう
獅子は涙を流しながら
空(くう)を切り裂き
大地に踊る
シベリア、アフリカ、アラスカ、北極
すべてを駆け抜け 突き抜けて
銀色に光り 嵐に消える
憎しみを憎み 引きずり回して
嵐のなかに 震えて消える。