詩-69 雀

蒸気を枯らす8月の太陽

エアコンの室外機の熱が 鼠を殺す

苔むした地面に転がる ビール瓶の群れ

息も詰まる酒場通りを抜け

透き通るダイヤモンドを口に咥え

雀は上昇する

天高く上昇する

 

高層ビルの谷間を

糸のようにすり抜けるとき

逆立つ翼は 速度に敗れ

その腹と足には 貧しさで傷がつく

『この街の建築物は

すべて迷路で 幻想だ

正夢にもならなければ

今日の夕飯にもなりゃしないさ』

雀は ダイヤモンドをしかと咥え

つり上がった目で より一層勢いをつけ

垂直方向に上昇する

 

脂まみれの まるまる太った鼠が

エアコンの室外機の熱で 殺されたように

この夢物語が酷暑の爆発のなか 

息も絶え絶えになり

偽りなく光り輝く石たちのみが

驕り高ぶるビル群を飛び越え

空に達して 割れ飛び散ることを

雀は真に夢見ている

まことの夢を 怒りとともに胸に収め

雀は真に 光速そのもので居続ける