詩-88

ほおずきの実を揉む

しわだらけの手

赤毛の混じる幼児が

あなたのまわりで 

きゃっきゃとはしゃいでいましたね

炬燵にみかんに 

薄い出汁の粥

温かなことだけが

思い浮かびます

 

あなたのことは切り離し

記憶の箱の裏に貼りつけました

どうか悲しまず

ご心配もなさらぬようーーー

私は 異なる道を選んだだけです

あなたの幸せについて行かないのは

私自身の国と町が

輪郭をはっきりさせて 私を迎えたからです

あなたを置いていくからこそ

あなたの姿も 輪郭をはっきりさせるのです

 

あなたほどの城塞都市は

いまだかつてありませんでした

袂を分かつ私に

どうぞ どうか はなむけの言葉をください

大丈夫、

私には あなたが 見えます

あなたの方向にだって

器用に愛を向けられるようになったのです

だから信じていてください

私はあなたを 決して忘れません

何があっても 忘れませんから。