わたしは
王の下に仕える身分ですから
どんな装いも
いらんのです
装いのなさが
わたしの楽しみなのです
王をまっすぐこの目で捉える、
それがわたしの 仕事ですから
やかましい鼓笛隊や
蛇の目で私を監視する老婆などには
整列してほしくないのです
どうかわたしの視界を遮りませぬよう
どうかわたしと王の間を引き裂きませぬよう
どうぞここから退いて
道を一本 開けてくださいな
わたしはこれまでどおりの
賤しく 装いのない姿のまま
涼しい風の通る日陰から
その道一本目指して
独りてくてく 歩いてゆく予定なのですから。