あなたについて思うとき
血生臭いものは何ひとつ
私の眼前には描かれなくなった
それでは何がお前には見えるのだと
鼻で笑われ問われたとしたら
私は自分の新しい感覚に戸惑いつつも答えるだろう、
それは春の景色であると
野にはスミレやシロツメクサが咲き
ひばりが若葉をくわえて舞い上がり
小川の流れは雪解け水のように輝いて
私の両目を潤すと
そして不思議なことに
そこに死はない
あなたという人は
その上にも下にも周りにも
決して死をはべらせることがない
あなたという在りよう
あなたが足を置く地面
あなたを取り巻く空気
これらすべてが示すのは
光
ただ光
欺きも裏切りも疑いも打ち砕く
若く眩しい光なのだ。