さあ 世界
わたくしが黒い箱におさまることを
許しておくれ
わたくしの春夏秋冬のなかに
線香花火やきらびやかな愛の爆発は
不要なのだ
この箱の隙間より差し込む
おどおどとした午後の光、
それだけで
それこそが
わたくしを満たす
品良くまとまった小さな丸パンと鰯、
その程度のものを投げ込んでくれさえすれば
わたくしの時間も 満ち満ちる
黒色の靴を脱ぎ
ベールでお前を隠したならば
そこからすべてが始まるだろう
わたくしは隠者
夜空へ暁へとつながる隠者
これほどまでの単純さというものが
これほどに真っ直ぐわたくしを生かすとは
昨日までの道すら
これっぽっちも気づいてはいなかったのだ。