詩-128

そういや3時に起きた。

あの人を手で払いのけて、

あいつの目をペンキで塗り潰して、

あの子の全身を消しゴムで消した。

裸足でとぼとぼ

風呂場へ行くと

水石けんの瓶が

浴槽の縁に片脚引っかけて

ぶるぶるおよよ、崖から落ちそうだった。

僕はたらいに水を入れ

脂ぎった顔をこすり洗って

濡れたままの指でもって

鏡に『阿呆め』と書いた。

さて台所へ向かう、

コンロにやかんを乗せ湯を沸かす。

冬はどうやら死んだようだが

春と夏はバフバフ埃を上げて係争中だ。

太陽はまだ玄関すら出ていない、

新聞配達員はかがんで靴紐を結んでいるが。

棚の奥からブリキの缶を引っ張り出す、

今日も安物の茶葉を煮出して

夜明け前の星々の会話を盗み聞きするのだ。

ここは空高くそびえる僧庵か、

はたまた怪鳥の孤独な巣か。

僕ぁまだ開ききらぬ しみる眼(まなこ)で

彼女が今日も生きており

僕がこうして居座ることを大目に見てくれることを願って

縞のパジャマのほつれ糸を

犬歯で食いちぎる。