僕は灰色から
つまらない銀色に固まった
夜はとても綺麗な
深いラベンダーと群青色で
僕に写真を撮らせてくれたのに
そして
時間も
止まってしまった
嘘だと信じたいことが
僕の見えないところで
起きてしまう
古びたカメラのフィルムが
ひらひら ひらひら くるくると
めくられ 踊り
その中でだけ 時間は回る
眠る僕の横で
ガサゴソと音を立て
僕を起こした君
バネのようにベッドに飛び乗り
僕に冷たい一瞥をくれた
狐色の髪をした君
僕にはなんにもしてあげられないってことくらい
わかっていただろうに
それでも君は やって来たのだね
意味がわからなかったよ、僕には
それでも君は 白いシーツの上で
あぐらをかいて
僕を見つめていたのだね
なんにもできないのだよ、僕には
なんにも
君が僕を見つめた以上に強い力で
僕は固まり 石となってしまっている
混乱と月夜と1冊の書だけを抱えて
頑として 動かなくなってしまっている。