詩-169

私は自分では欲しくもない絵画をあてがわれ、不当な値段で買わされた、

 

何ひとつ、

何ひとつ、望んでやしなかった。

 

そして、現金一括のはずが、今もこうしてどす黒い、毒づいた月賦を支払わされている、

 

だからこの身は痩せ細る一方で、あばら骨が冷たく整列して世間に向け挨拶をしている。

 

しかし、ふと私は思ったのだ、ある人の、またとある人の人生と言葉を通して、私も試みてみてはと思ったのだ、

 

つまりこのカビ臭い絵画を鑑賞するならば、私ひとり、この私ひとりが油絵の具を手に取り、この作品の上に色とりどりの塊を猛烈にぶっつけ塗りたくり、私ひとりだけが気の済むような新たな視界と風と嵐とを、呼び起こせばよいのではないか、と。

 

それで私は、とあるもうひとりの人、私がそそられてやまぬその人に倣い、なみなみとワインの注がれた盃を手にし、それをひと思いに飲み干し、

 

そして盃を後ろの壁のドアに投げつけた、決断と情熱をもって中断をした。

 

私は自分をささくれ立つ一片の木くずにした、とげとげしい皮膚でもって世界の膜を破りそこから逃げ出すためーーー

 

うまくいくだろうか?

3分とももたない? 

試してみるより他はない、有史以前の恐竜にでもなったつもりで、牙を向け空を舞い、進軍してみるより他はないのだ。