tête-à-tête 28

1892年10月23日、ビレホウル王国の首都スキャルケイルから北へ数キロ離れたところにある、森林公園。ひとりの男性が公園入口から最も遠くに位置する渓流のエリアへと歩いていく。

 

今日は風が強い。まるで嵐のようだ。でも嬉しい。これなら僕がどんな音を出しても、すべてかき消されてしまうだろう。枯れ葉が宙に舞う。いい景色だ。滝の音だけ、奥のほうからかすかに聞こえてくる。

 

そうです。僕は、生き物を殺しました。今いるような森や林へ入って、ウサギやキツツキ、野ネズミを潰しました。ミミズを切り落としました。フクロウを撃ちました。大きな木の枝を切り落としもしたし、薬品を小川に流したこともありました。

 

放火もしました。木の葉の上、大地に、めらめらと炎が燃え広がっていくのを、黙って観察していました。

 

爆弾も、送りました。贈った、と言ってもいいかな。そのときはたまたま僕が『当番』になった。6人だったか7人だったか、輪になって座り、真ん中に空のガラス瓶を置く。ひとりが代表してそのガラス瓶をスピンさせる。瓶が止まったときに飲み口の部分が指し示した者が、その日の仕事に当たる。瓶は僕の目の前で止まった。だから僕は指示されたとおり、黙って僕ら手製の爆弾を箱に詰め、包装と梱包をし、丁寧に宛名を書いて、スキャルケイル市内のある家に届くよう手配しました。

 

小包は無事に届き、その家の使用人の指を吹き飛ばしたみたいです。風の便りだったので、僕自身に確かめるすべはこれといってありませんでしたが。

 

僕は人も殺しました。いつか、いつか報われるといいな。なぜなら僕は犯罪者を始末したから。僕は奴を、花瓶で殴った。後ろから近づいて、あいつの頭を、かち割ってやった。僕は今でも覚えています、汚れきった奴の血が飛び散って、床の木目を汚し、じゅうたんを汚し、奴の家の窓ガラスを汚したことを。そして僕は知っていました、床とじゅうたんとガラスを汚すずっとずっと以前から、奴は彼女を傷つけ痛めつけ、卑しめ閉じ込め、ひとり秘かに甘い汁を吸い続けていたことを。

 

あなたはどこにいても何をしていても私の天使、あなたは私を連れ出してくれた、私を疑わないでいてくれた、私の肩を抱いてくれた。それだけで私は、屍からもう一度生まれ変われる気がしていたのよ、だからありがーーー

 

森のなかで一発の銃声が響いた。けれど嵐のような風の音で、すぐさま散った。小さな渓流の前には、立て膝をつき、頭から血を流す男性の姿があった。男性は数秒間、そのままの姿勢で右に左に揺れると、その後倒れて頭から一気に水に突っ込んだ。