tête-à-tête 61

 

将来、市民一人ひとりの自由意志による拳銃の所有が認められるよう、私たちはこうして『流通作業』を推し進めているわけだ。資金繰り?実際の武器調達?心配ない。何だかんだと言ってこの150年近くものあいだ、言論統制維持派の人間も保守派の人間も私たちの味方だったのだから、いわば大口・小口ともにパトロンには事欠かない。彼らは表向き王様にかしづいて、彼ら自身の立場においてうまく立ち回って、『寄付団体』として私たちの夢をバックアップし続けてくれたんだ。これから先何年経とうとも、そのつながりをむげに断ったり、ないがしろにする理由はどこにもないだろう?

ただ問題は、個々のメンバーに対する法的な保護力を私たちは一切持っていないということだ。つまり、抗争なり何なりに加わって破壊行為を起こしたのちに君たちの身元が割れた場合、私たちには君たちの行為を正当化する権利は与えられていないということなんだ。俗な言い方をすれば、君らは見つかり次第、即刻ブタ箱行きということになる。

なので、身元が割れないようにすること、もっと言えば法に抵触しない形に工作して、君ら自身の望む破壊行為・暴力行為を存分に楽しんでくれたまえ。繰り返し言うが、私たち運営者には、君らを保護、弁護する力は一切ない。私たちの使命は、武器や火器を可能な限り広くあまねく個人に普及させ自由に使用させること、それだけだ。また、今やそれを特定の思想のもとに行うこともない。鬱憤晴らしに用いようが、趣味でやろうが、……あるいはデモ、テロなどに用いようが、自由と責任はすべて君たちに委ねられる。私たちはそのためのチャンスと手段を与えるだけだ……。

 

『ストレス解消には確かにもってこいだよな?癖になりそうだわ、こりゃ』

1872年、ビレホウル王国の首都スキャルケイルの郊外の町。『白砂漠』と地元民に呼ばれている小さな丘の上に、シリルとマーカスはいた。ふたりとも首には赤いスカーフを巻き、胸には小銃モチーフのブローチをつけている。空の薬莢の山を見て、マーカスは笑う。

『これも言ってみれば、メンバーのみのご優待特典ってやつだよな?弾も本体も、すべてタダで支給だもん』

そう言うとマーカスは空に向かって小銃を一発ぶっ放す。近くの木に止まっていた小鳥たちの群れが、一斉に羽ばたいた。シリルはマーカスに念を押して注意する。

『お前はあくまでも遊びでやれよ。間違っても繁華街の抗争なんかには加わるな、いいな?』

『わかってるって。ストレス解消だよストレス解消』

『何のストレス解消。俺といるのが苦痛ってか?』

マーカスは呆れた表情でシリルに言った。

『おっまえも神経質というか、グラスになみなみ嫉妬心いっぱいというか、勘ぐり過ぎなんだよぉ。俺がストレスなのはお前といることでもなければ、お前がいるから他の男女に浮気できなくて残念ってことでもない。リディアだのハンナだの何だのっていうよそ者とかかずらわるのがウザいってだけだよ。だから、気分解消のために撃たせてくれってだけ』

そう言ってマーカスは地面の雑草を蹴り上げると、すぐそばの大木に3発連続で弾を撃ち込み、勝ち誇ったように笑った。