tête-à-tête 113

『立ち会い人?俺たちが?』

ホワイト・ヘイヴン市内の繁華街、シトルリア。マーティン、シリルそしてマーカスが揚げ芋を買い食いしながら目抜き通りを歩いていく。夕方の5時前。マーカスはマーティンとシリルの会話にはほとんど興味がないらしく、ひたすらに包み紙に手を突っ込んで芋のかけらを口に頬張っている。

『ちょっとお前、早食いし、す、ぎ。もっとよく噛め』

シリルはマーカスの手を止めてたしなめると、マーカスの不満顔をよそにマーティンとの会話に戻る。

『俺は別に構わないし、マーカスもこんな調子なんで殊更に拒否ることはないだろうけど。で、親父さんとはいつ会う予定?』

マーティンは揚げ芋の細長いかけらを口にくわえたまま答えた。

『それはまだ決めてない。図書館で出くわしたんだけど、会いたければここに来い、自分はよくここに来てるからってことだけは言われた』

『そうか。ま、俺たちは問題なしだ。そのときは呼んでくれさえすれば、あの空き家で落ち合うことは全然OKだ』

『ありがとう』

3人は酒場【ブラック・マスト】のある通りに入っていった。それでシリルは試しにマーティンを誘ってみた。

『どうだ?今晩は久しぶりに行ってみないか?お前に似合う女がいるかもしれん』

マーティンは露骨に顔をしかめて断った。

『やだよ。また偏頭痛起こすに決まってるし。そもそも僕は以前の奥さん一筋なんだから』

『モテないのが怖いからって、逃げてるぅー』

突然マーカスが話に加わってきた。シリルはニヤニヤ笑ってマーカスの肩を叩く。マーティンはますますしかめっ面になって拗ねた。

『【ブラック・マスト】はいいからさ。隣の喫茶店に入ろうよ。僕、そこの常連なんだ。すごく静かで、落ち着けるところなんだ』

シリルは揚げ芋の最後のひとかけらを口に放り込むと、包み紙を丸めてミリタリーコートのポケットに突っ込んだ。

『オーケー。お前に合わせる。ただし、マーカスが目の前で大食いを披露しても、驚くなよ。ちょうどメシの時間だからな。揚げ芋なんて、こいつにとっては前菜程度なんだから』