2021.05.03 散文詩:人類、皆ねじ曲げ屋

いや、In vino veritasとは言うけれど、僕には酒をつがないでください。酒に酔った勢いなるものが僕の内からあなた方にとって一見真新しいものを引き出してくれようが、僕に岩のように硬い後悔を味わわせてくれようが、実のところそれらはおよそ何ひとつ真っ直ぐなんかではないってことは、若い時分よりわかっているのです。

ちょっと僕ね、周囲をぐるっと見回してみたのです。そしたら、僕が、ではなくて、僕が目にしたそのパノラマ風景自体がぐるっと動き出してね。青い空にいくつかの細長い切れ雲が浮いていて、大地は乾燥して1枚の砂のシートのようだった。僕のそばにも僕の数メートル先にも、視界を遮る人はひとりもいない。パノラマ風景の前にポツンと立ち尽くす僕自身の姿を、僕は画面のこちら側でじっと見ていました。

でね、画面のこちら側の僕ってのは、何だろう、ポッキーとか板チョコのような、真っ直ぐだったり四角くて固かったりするものを口に運んでいるのですーーーそしてふと溜め息をついて、と言うよりも吐いて、『人は皆、ねじ曲げ屋だなあ』と思ったの。

だから僕はね、プレッツェルなんてものは食べないんです。プレッツェルって、ご存知かと思うけど、あんな右・左八の字に入り組んだもの、僕はダメなんです。昔懐かしの給食の揚げパンってあるでしょう?あの編み上がり具合にも匹敵するほどの【失望感】だと思うんだよね、プレッツェルって。だからとっても退屈。

それで僕は、空想上のプレッツェルを放り投げて、画面の敷居を跨いで、あのパノラマ風景のなかに入っていってしまおうかなあと思案中なのです。もちろん、ポッキーだの板チョコだのを口にくわえたままでね。そこに未来を感じるから。こういうの、変かしら?