「前へ行けば?あなたもう洗礼受けたんだし」
「いやいやいや。私はいいです。隅で座ってますよ。あ、こんばんはーアナスタシアさん」
「どうもー。マリヤさん、聖所でお祈りしないの?あたし行っちゃうわよ、10年かかって帰正したんだもん」
「すごいなやる気満々」
「ほらメアリーも行けばいいのに」
「んー、なら行っちゃおうかな。よし、行ってきます」
「走らないメアリー!」
「え、でもキッズたちは普通に」
「あなた幾つよ」
「おかげさまで先月4月で45」
「45はキッズじゃないでしょう」
「いやあ、旧約ではウン百歳まで生きた人が……」
「ワシリイ掌院に言いつけますよ」
「すいません。にしても王門の向こうでは何が行われているんですかね?実は神品の皆さんで婦人会のカレーうどんでも頬張っているんじゃ」
「Mary May Kurokawa!」
「Sorry! 冗談ですよ。それよりも掌院、東京にはこれからもずっと?グラスゴーに戻られてしまうってこと、ありますかね?」
「さあ。辞令的なことはあたしは知らない。それよりあなた、神学アカデミーの研修へは行かないの?仕事の都合?」
「単純に予算の都合です。それに飛行機怖いので。過去に経験した乱気流でモロにトラウマ。もう国内でじゅうぶんです」