もうそろそろの時分です-5

「今んところ誰にもバレてはいないね、プラトーク被ってるし。何ならウィッグつける日もあるしね」

「とりあえず、てっぺんだけで良かった」

「てっぺんね。トン……あー気持ち悪」

「大丈夫?出しちゃう?」

「……いや、……大丈夫」

「トンって?水飲む?」

「今はいらない。トン?」

「てっぺんね。トン……って、あなたさっき言った」

「ああ。トンスラって言おうとしたの」

「逆河童とも言えそう」

「アルミ鍋の蓋か何かでも乗せておこうか」

「かえって人の目を引くでしょうそれじゃ。ウェルチはどう?飲める?ぶどう」

「飲んでみる」

「ちょっと芽衣。どこまで飲むつもりよ」

「味がわかんないんだよ。だからわかるまで」

「お腹壊すよ。夕ご飯も入らなくなるんじゃないの」

「私は今を生きておりますので」

「でも、いい知らせだったじゃん。そこまでひたむきに今を生きなくても済みそう。リラックス、リラックス」

「なーんかさあ、不思議だよねえ」

「何が?」

「きっと他のみんなも同じこと言うと思う。いい知らせで良かった、安心したって」

「そりゃあ普通は、そういうふうに言うでしょうよ」

「そうかね。そういうもん?だってさ、死なんて怖くない、永遠の生命を与えられているんだからって言うすぐそのそばで、【無事で良かった!】って言うんだもの。自己矛盾じゃん、みんな」

「誰だって怖いでしょう、死ぬなんて。そこはさすがにみんな、本音と建て前を使い分けざるを得ない」

「じゃ信じてないってことだ」

「だって、所詮人間だもの。ケーキは?チョコレートケーキあるよ」

「その上に乗っかってる赤いのだけ食べる」

「はい、どうぞ。どうする?あと30分くらいで動けそう?私、家まで送るよ」

「うん。ありがとう。45分くれる?そしたら立つ」

「オッケーです。とりあえず落ち着くまでここで座ってて……あ、そうか。だからバレなかったのね?」

「?」

「ほら、神父さん。髪の毛のこと。プラトーク被ってれば、最低限」

「ああ。でも聞かれたよ、そのほっぺたどうしましたかって」

「おっと、危なーい」

「ギリ、セーフかな。どうだろう。親知らず抜いたせいですとかテキトーに濁しておけば良かったかな」

「頭と腕の跡見られなきゃ平気でしょ」

「探り入れられたけどね、結構。土日あまり来てないねって」

「だって、それどころじゃねえ?今週末も会いに行っていい?」

「面倒でなければ」

「面倒なわけないでしょう。気にしないの」

「サンキュ。じゃあ、そうだなあ、また水炊きでもやりますか」

「OK。私、材料買い揃えて行くから。それとキムチとかも、いる?」

「大人のポッキーをよろしくたのんます」