もうそろそろの時分です-6

「相変わらずの狭さなんで。ごめん」

「ああ、もう全然。カバンはここでいい?」

「うん。Tusind tak」

「Det var så lidt. もう7時かあ。芽衣、お腹空いてる?」

「少しね」

「良かった。じゃ、なんか作る。冷蔵庫開けていい?」

「いいけど中からペニーワイズが出てくるんでよろしく」

「あっれー、ペニーワイズってあなたと同居してたっけ」

「気がついたら冷蔵室を不法占拠しておった」

「製氷スペースに押し込めたらそろそろお陀仏するんじゃない?あ、納豆、食べられそう?」

「うん。運良く今はいけそう」

「じゃあ地味に納豆ご飯でいい?」

「類が作ってくれるんなら何でも。ごめん、ちょっと横になる」

「まだ吐き気する?」

「いや。疲れただけ」

「眠たかったら寝てていいのよ」

「眠くはない。にしてもここんとこヘンな夢ばかり見るんだよな」

「治療でお疲れなんでしょ。無理もない」

「いやあ、それにしても気味が悪いんよ。同じ夢を繰り返し見る。何人だか知らないけど、特定の人種が狙われて虐殺される。みんな必死に隠れるんだけど、最後には見つかって一人残らず撃ち殺される。でも奇妙なことに、とある女の子だけは逃げ延びるみたいで」

「21世紀のホロコーストかしらね、不気味。やっぱり疲れてるのよ芽衣。ましてやこの4年間は感染症の時代だったんだもの……オッケー、熱はないみたいね」

「手、随分とまああったかいね」

「せっかくのハンドパワーは使わないとね。じゃ私、お味噌汁と納豆ご飯作るから、あなたはそこでゴロゴロゆっくりしてて」

「なんか奥さんみたいだね類は」

「あらそう?ハハハ」

「類みたいな気配りの利く女性が、なんで40過ぎても独身なのかねえ。世の男はなぜゆえこうまで見る目がないのか。ん?類?どしたあ?」

「あ、ううん、何でもない」

「類も疲れてるんじゃないの?何だかんだ言って数時間つき合わせちゃった。ごめん」

「私はなーんともない。気にしない気にしない。納豆はこの添付たれと辛子でOK?」

「リー・ペリンソースがベスト」

「冗談でしょそれ。クッソまずそう」

「類がクソなんて言葉遣うと鉄棒で懸垂でもしたくなるわ」

「それくらい元気なら、この先も大丈夫そうだね、治療。応援してる」

「サンキュー。やっぱり起きる。なんか手伝うこと、ない?」

「いい、いい。ゆっくりしてて。キーゲゴォさんのジグソーパズル、まだ完成してないんでしょ?続きでもやっててよ」

「んならわかった。パズルやってる。まだニワトリ頭の部分だけ埋めてないんよ。おととい、やってる途中でトイレに駆け込んじゃったもんだから。頭だけであと20ピースは残ってるって、この人いったいどーゆーことかね?」