もうそろそろの時分です-10

「あ、目、覚めた?」

「……今、何時?」

「うーんとね、21時48分」

「ごめん。食べてしばらくしてから寝ちゃったんかいな?」

「サラダ作り置きしておいた。そのあとすぐ帰るつもりだったけど、戸締まりが心配だったから芽衣が起きるまで待ってた。合鍵なんて持ってないんだし」

「申し訳ない」

「いえいえ。サラダ、明日の朝にでも食べて。食べられたらの話だけど。ただ、もうひとつ心配なことがあって」

「何?」

「冷蔵庫。さっき開けたらやっぱりいた、ペニーワイズが。サラダ作ったのはいいけどあなたより先にあの子が食べちゃう気がする」

「やっぱりいたか」

「座敷わらしならぬ家電わらしかしらね」

「わらしっつうより『荒らし』かね」

「とにかく、噛まれないように気をつけてね」

「噛むのあいつ」

「さっき、歯むき出しにして笑ってた。小さいおっさんのくせに。それじゃ私、帰るね」

「今日は半日つき合わせちゃってゴメン。食事の支度もありがとう」

「これくらい、大したことございません。また土曜日にね。あ、それから、次の治療も今日と同じくらいの時間に始まる?」

「えーっとね。うん、15:45に予約入ってる」

「じゃあ私また付き添いするんで、よろぴく」

「悪いよそんなにしょっちゅう。翻訳の仕事、忙しいんでしょ」

「大丈夫。どうせ在宅の仕事だもの。好きなように都合つく。うちの『旦那』もおとなしくしてるし」

「ああ。定男さんによろしく」

「うん、言っとく。それじゃ、また土曜日にね。お邪魔しましたあ」