もうそろそろの時分です-16

(翌日の午後。教会近くの日本庭園にて。)

 

「昨日のお話にはびっくりさせられました。類も、ねえ?」

「うん。まさかと」

「驚かせてしまいましたか。それはごめんなさい。でも嘘よりはいいね」

「確かにまあ、そうですけど。でも掌院、大丈夫ですか」

「私が?」

「だってその、ねえ。浮気ってそりゃ。ねえ、類?」

「うん。しかもその、教会の方で」

「そのうえその、若くて。若くてですよ?」

「ルイさんマリヤさん、あなたたちは私をいじめてるね」

「あ、バレました?ははははは」

「バレますよ、簡単に。ところでマリヤさんルイさん、あそこのベンチへ行って座りませんか」

「はい。OKです。そうしましょう」

「………よっこいしょ。はあ。さて、私はマリヤさんにひとつたずねたいことがあります。ルイさんにも教えてもらえたらと思っています」

「はい」

「何でしょう。私にも、って」

「ええ。それはね。マリヤさん、マリヤさんは私に何か隠していますか?」

チロルチョコならポケットに隠してますけど」

「溶けちゃうね、それ。やめたほうがいいね。……ああ!違います。私は今、チロルチョコの話をしているのではありません。もう一度聞きますマリヤさん」

「はい」

「マリヤさんは何か隠してますか、重要なこと」

「さあ……何のことだか……」

「ルイさんも一緒に隠してるね」

「私が?芽衣と一緒に?」

「マリヤさん。マリヤさんは何かご病気をされていますか」

「Ouch」

「やはりそうなんだね」

「教えましょうか」

「教えてください、私知りたいです」

「Basal cell carcinomaです」

「What? How long have you been dealing with it?」

「んー。何か月だっけ?」

「最近だよね。3、4か月?」

「Why didn't you tell me sooner?」

「いや、だって、ねえ」

「そのがんは、危険なのですか」

「You mean whether it's metastatic or not? 」

「Yes, Mary」

「大丈夫です。転移……広がることはないです。私はまだ死にません」

「良かった!」

「ほらね類、ひとりまたここに」

「そりゃ言うでしょ当然」

「何を言う、ですか?」

「いえ、気になさらないでくださいワシリイ掌院」

「Call me Sean」

「Well, please don't worry about me or my health issues, Sean. That is unnecessary」

「何を言っているのですか、私は当然心配します。ルイさんだって心配しています。私、掌院なんだからね、何だって見えるよ」

「教えてくれって聞いてきたくせに」

「マリヤさん今何と言いましたか」

「いえ、何も」

「とにかくね。私は心配します。たくさん心配します。世界中のbrothers and sistersも心配するね」

「いやそれはないかと……」

「私はマリヤさんが早くお元気になることを神に祈ります」

「ありがとうございます、掌院」

「Sean, please」

「Well. Thank you, Sean. 私と類はあさって飛行機に乗って、東京へ戻ります。しょう、えーっと、ショーンさんはいつ東京に?」

「8月には帰ります。おばんの頃」

「お盆ね、お盆」

「ああ、それです。おぼんの頃にまた教会で会いましょう。ルイさんもまた教会に来てください、お待ちしています」