もうそろそろの時分です-18

(引き続き成田空港にて。)

 

「今まで気づかなかった?勘ぐってみたことはない?」

「ええ……っとその……、まああの、ないことはないんだけども……」

「じゃ、なんとなくはわかってたのね」

「いやあの、かといってそこまでは……」

「鈍いとこあるもんね、あなた」

「はい、まあ。よくご存じで。で、あの、いつ頃からでございましょうか……」

「定男さんがうちに来る前からずっと」

「ずっと?」

「正確に言うと初めて会ったときからずっと」

「初めてって……、えーっとえーっと確か……」

「約14年前」

「そんなに昔だったっけ?!」

マニックスカール・バラーに感謝だね」

「……で、それであの。なんで、今」

「ああ。うん、先駆けしてみた」

「先駆け?」

「うん。ほら、ショーン・マクゴナゴロッチさんの件で」

「ショー、いや、ワシリイ掌院がどうかした?」

「あの人、きっとあなたのことが好きよ」

「ハア?!何言ってんの類?!」

「ショーンと呼んでくれだなんて、言わないよ普通は。何かしら気があると見た、私は」

「んな、そんなまさかあ。バッカらしい」

「わからないよ。人生、何があるかわからない。私だってわかんないままここまで来ちゃったんだもん」

「あの、14年も……これってあたいの責任だよね?そこまでその、友人関係続けさせてしまって。あたい、謝らないと……」

「謝る必要ない。断ってくれていい。会いたくなければもう二度と会ってくれなくてもいい」

「そんなことは。ただあのあたい、その」

「NoならNoって言って」

「あの。その」

「Noなのね」

「…………」

「いいのよ、断られて当然」

「違うんよ。あの……、NoにはNoなんだけど……」

「うん、わかった。返事聞けて良かった。それじゃ私、これで……」

「いや待って、違うんよ。こっちの都合なんよ」

「?」

「あの。笑われそうだけど。……自分、独住修士になりたいんよ」

「えっ。あなたが?あなたが隠者?」

「そうなんよ。そういうことなんよ。だからその、同性愛が嫌とかそういう理由じゃなくて、ホントにこっちの都合なんよ」