もうそろそろの時分です-19

「あなたが?トイレの棚にトイザらスで買った亀の置き物を6つも並べてるあなたが?」

「うん」

「食器棚開ければお皿やコップの代わりにチロルチョコキットカットがぎゅうぎゅう袋詰めで保管されてる、みたいなあなたが?」

「うん」

「畳んだアマゾンの段ボール箱を何枚も何枚も長いこと玄関に放置しておく、みたいなあなたが?」

「うん、まあ。それにしてもよくご存じで」

「ご存じってゆーか見ればわかるわよ、誰だって。それで何、そういう生活も、ぜーんぶ棄てちゃう諦めちゃうってこと?」

「正直、そこまでできるかはわかんない。ただし皮肉にも先立つものすらないんで、神学アカデミーの短期留学にも行かんかった」

「あなたいつもチロルチョコ買い占めてるからよ。……てのは冗談で、お金のことよりも、体のことがあるから行かなかったってことでしょう、そういうことにしておけばいいじゃない」

「まあ、より同情されやすい言い訳をするならば、そういうことになるね」

「ねえ。もうはっきり尋ねちゃうけど。私とのつき合いも、やめちゃうつもり?それで黙ってどっかへ行っちゃうつもり?」

「類」

「言っとくけど私イヤよ、そんなの。どこ行くつもりなの?」

「どこも行きやしないよ。何か特別なことをするってわけでもないし」

「じゅうぶん、特別なことを目指してるわよ、それ。特別過ぎる。私に会うためのドアだけは、開けておいてよ」

「うん。そこは心配せんといて。どこでもドアでどこか類の知らないとこへ勝手に行っちゃうってことはないからさ。これまでと何も変わんないよ、自分」

「もうすっかり変わっちゃったわよ、【私たち】は。さっきだって告っちゃったんだし。やだもう私何やってんだろ、恥ずかしい」

「恥ずかしさで死にやしないよ。打ち明けてくれて、ありがとう。それから、今後も迷惑かけそうなんで、あらかじめゴメン。さ、なんか食べよう。マックでも行く?」