もうそろそろの時分です-22

(9月下旬。とある森林公園にて。)

 

「どうでもいいけど胡座かいて手のひら空に向けて瞑想って、あなたどういうクリスチャン」

「しっ!今ポッキーと闘ってるんだから」

「ポッキーと闘ってるって何よそれ」

「欲だよ欲、欲に抗う力を貯めるんだ」

「ポッキーにすら勝てない隠者。ああほら、果汁グミならまだたんと残ってるよ、あなたの好きなぶどう味。ほれほれ」

「そうやって目の前にちらつかせない!」

「いいじゃないお菓子くらい欲に任せて食べたって。ダイエットじゃあるまいし。あーおいしいなー」

「ダイエットなんだよこれは。余計なものを削ぎ落とし、無になり、義そのものとしての霊となるべく修道せねば」

「やっぱりどうでもいいけど裸足でいるのはやめたほうがいいんじゃない、ほらそこレジャーシートの上、蟻歩いてるよ」

「蟻?自然との一致を求めるんだよ類くん、自然との一致を」

「私まで参加させられるの」

「そうだ、クリスチャンを辞めるならば今こうしてわたくしと新たなる道に入らねば」

「何の宗教よそれ。ね、明日通院なんでしょ。天気も良くないから長居するのやめとこうよ」

「雨合羽なら持参しておる」

「あなたはいいかもしれないけど、それで体調崩したら私もショーンさんもみんな困るんだから。あーほら雨降り出してきた。頭濡れるよ」

「トンスラ頭は濡れるに任せればよい!」

「無事に生えてきてるじゃないの、毛。今度ショーンさんに見せてあげれば?今みたいにヅラ外してさ。そうすればドン引きされてフラれること間違いなしフフフフ……」

「なぜゆえこのわたくしが振られる必要があるのだ、わたくしは隠修士だぞ」

「あなたがあの人に振られると私は嬉しいの。はいはい、隠修士のくせにコミック本こんなに持参してピクニックしに来たのはどこの誰?片付けるよ?表紙、濡れてるし」

「うわあっ!!!!」

「もーやだ、雷くらいで抱きつかないの!抱きついてきてくれるのは嬉しいけど、あなたの手、さっきしこたま食べてた都こんぶの匂いがする!やめて」