もうそろそろの時分です-26

(11月初旬。ロンドンー東京間の会話。)

 

「あ、もしもしアリ?元気にしてる?」

「うん、いつもどおり元気よ元気。父さんは?」

「こっちに戻ってきてからは相も変わらず忙しいね。しかも1か月後にはもうクリスマスだからなあ」

「クリスマスね。僕、まず23日と24日はハイアット・リージェンシーに泊まるから」

「お前にそんな金あったかね」

「年に一度じゃん。クリスマスってのは大人買い爆買いのためのスペシャルデーなんだし。欲むき出しよ」

「お前の体に私の血が半分流れているようにはとても思えないね。まあいいや、それで成田に着くのは23日の午前?」

「うん。朝7時半に着いて、リムジンバスで都内に入る予定だよ。ホテルのチェックインまで時間があるから、どっかでうまいもん食べて休憩するつもり」

「ガールフレンドは今回は一緒じゃないのか?メラニーさんと言ったっけ」

「あーっとね。今回は別便でそっち行くんよ。仕事の都合。2日滞在したら確かローマへ移動するって言ってたな。泊まる部屋は一緒なんだけど」

「モデルさんというのは多忙だね」

「別に超売れっ子ってわけじゃないけど、まあ、大変そうではあるね。あ、それで僕はひとりでディズニーランド三昧ということなんで、よろしく」

「母さんはどうしてる」

「あー。あの人はね」

「あの人って言い方はないだろ」

「あの人じゃん。親父のこと裏切ったんだし。今でも例の男と仲良くしてるよ。僕とも大して歳の違わない男じゃん。それで父さんは悔しくないの?」

「幸せだよ。お前が気にすることじゃない」

「えー、なんで?本当に幸せなんだね。声が笑ってる。さては新しい人が」

「ご想像にお任せするよ」

「てことはホントにいるんだ、そういう人が。あ、ゴメン、お客さん来た」

「ああ。わかった。暇があったら教会にも来なさい。もしかしたらご想像にお任せした人とも対面できるかもしれないからね。じゃ、電話切るよ。体に気をつけて、無事にこちらに着くように」

「オーケー。じゃ、来月ね。父さんも太り過ぎには注意するんだよ」