そろそろの時分です-38

(3月下旬。病院にて。)

 

「うん、これといった異常は見られないね。なので次回の検診は3ヶ月後の6月にしましょう」

「良かった。ありがとうございます」

「漢方だけ出しとくよ。それ飲んで体調整えて」

「はい。ありがとうございます」

「あ、それからさ黒川さん」

「はい。何でしょう?」

「どう?今度、黒川さんと僕と僕の奥さんとで食事でもしない?」

「え?あの、私は全然OKですけど、病院の先生が患者と個人的なつき合いをするって、禁じられてはいないんですか。先生のほうは、それで大丈夫なんですか」

「心配ない。何なら6階の食堂で、でもいいんだ。なんでかっていうと、ウチの奥さん大学に復学してね。4月から文学部よ。で、最近、キリスト教の勉強もしたいって言い出して」

「ほお。ほほおー」

「でさ、僕としてはさ、面白いクリスチャンをひとり知ってるってことで、じゃあ奥さんに会わせてみるかと思ったわけ」

「面白いって……それ、私のことですか」

「そりゃそうよー黒川さん。黒川さん以外に面白いクリスチャンっている?なんか愉快な人だよねーあなたって」

「はあ……褒められてんだかけなされてんだか……」

「だからさ、都合ついたら会食しようよ。ああそうそう、この前付き添いに来たおふたり、あの方たちも誘ってくれたら最高。ちょっと聞いてみてもらえる?」

「……パシリやなー私」

「ハハハハ。そういうこと」

「わかりました。ワシリイ掌院と友人の類のことですね。じゃあ早速、今日あすにでも聞いてみます」

「頼んだよー黒川さん。みんなで楽しい話できたらと思ってる。じゃ、お薬出しとくから、今日はこれで終わり。雪降り出しそうだから気をつけて帰って」