もうそろそろの時分です-40

(地下鉄駅構内にて。)

 

「Dr.コバヤシの奥さんは面白い方でしたね。私、今日来て良かった」

「それは良かったです。で、あの掌院、奥さんからいただいたこのクッキー、掌院お持ち帰りなさいますか?私、ここのところお菓子食べ過ぎで……」

「ううん。私が食べたら、私もっとデブになるね。風船デブ」

「またあ」

「今日これからマリヤさんと類さんのおうちへ行くのだから、3人で食べましょう」

「そうですね。じゃあ、そうしましょうか。あ、電車来ました」

「……ああー、ちょっと混んでいますね。マリヤさん大丈夫ですか、次の電車を待ちますか」

「いや、乗っちゃいましょう。私なら大丈夫です」

 

※※※※※※※※※※※※

 

「うわ、本格的に混んできた。あとふた駅なんだけどな」

「大丈夫ですかマリヤさん」

「はい何とか……うわっ」

 

(乗り込んできた客に後ろから押され、芽衣の額が隣に立っていたワシリイ掌院の左腕にガツンとぶつかる。)

 

「いって。ごめんなさい掌院」

「You OK?」

「はい、でもちょっと鼻を痛めました……ててて……」

「鼻血は出てませんね。でもマリヤさん、私の左足踏んでるね」

「はっ。すみません」

「May,」

「はい何でしょう、あークッキー割れてないかな……」

「May I hold your hand?」

「え」

「今だけです」

「……I…, I don't think that's a good idea,」 

「Sorry. そうですね。私、バカですね。とても良くない。I apologise.」

「いえ。謝らないでください」

「私、弱い人間だね。主教になるのに」

「そんなことは。……でもあの、掌院えっとあの」

「Yes?」

「あの。Dad. Will you please stroke my head…? 」

「May I? 」

「Yes, please. My father…, he was never been around when I needed him. Like when I was five or six. So I……」

「説明はいりません。言わなくてもわかるね。寂しかったですね、May」

「はい」

「泣かないでください。いえ。泣いても大丈夫です。私がいるときは、泣いてください」

「……どっちなんだよアハハ……」

「ああ、May笑いました。私はMayが笑っていると幸せになるね。ハゲがもっと光るね」

「ハゲならもう随分治ってきましたけどね。あ、ここです。ここで降りないと。行きましょう、掌院。類が待ってます」