もうそろそろの時分です-46

(東京近郊の大きな庭園にて。)

 

「ルイ、ちょっとおたずねしますが」

「はい。何でしょう、ショーンさん」

「いつもああなのですか」

「うん?」

「Mayです。いつもああやって、片脚立ちで祈っているのですか」

「ああ。アホなことやってるでしょう、あの人。バランスボールってあるじゃないですか。あの人、家ではいっつもバランスボールの上でお祈りしてます。お祈りってゆーか、瞑想ってゆーか」

「楽しそうだけどね」

「本人としてはいたって真剣なんですけどね、仕事中にそばでやられると、私どうしていいものやら。あ、ショーンさん、鮭とば食べます?」

「ありがとう、私何でも食べる人。ああ、このソーセージでMayを釣りましょう。May!」

「何ですかーっ」

「ソーセージありますよ。Lunch time. Aren't you feeling a little bit peckish?」

「今行きまーす」

 

芽衣、ふたりのもとに駆け寄る。ショーンと類がレジャーシートの上でくつろいでいる。)

 

※※※※※※※※

 

「最初はピクニックだけの予定だったけど、ペンションで1泊っていうの、ありがたいです。私、いっつも家で仕事だし、自然の多いところにもひとりじゃ滅多に行かないし」

「旅行はいいですね。今日は天気もいいね。私もルイとMayのふたりを誘って、良かったよ」

「奥さんもいないしねー」

「May!あなたはとっても意地悪ね。私そんなにひとりぼっちじゃないよ、寂しくないもの。ああそうだ、ふたりとも、アルバム見ますか?」

「アルバム?ショーンさんの写真?」

「私の写真はそんなにないけど、妹とか、息子のアリとか、沢山映ってるね」

「ワシリイ主教、これが妹さん?」

「そうだよ。派手な服装でしょう」

「確かに。これ、どこで撮った写真?」

「ドバイだよ。妹はね、husbandが仕事であちこちの国へ行くんだね。今はふたり、アムステルダムで暮らしているよ。お金持ちでお金好き」

「あれ妹さん、あたいがもらったショール持ってる」

「うん。そうね。持ってるだけね。妹はキリスト教嫌いだから、実際には使わなかったね」

「それであたいに?」

「うん。Mayに似合うと思……」

「えーっ、これもしかしてショーンさん?」

「どれですか」

「これこれ、この写真!めっちゃスリムじゃないですか?」

「ああ。そうね。これもまた事実ね。私、若い頃は痩せていたよ。年取ってデブになったのも事実ね」

「若い頃はって、今も若いですよ主教」

「May、私がもし今もこういうふうに痩せていたら、Mayは私のことを好きになりましたか」

「えー?……どうだろうね?この頃のワシリイ主教、なんかシシャモっていうかワカサギっていうか……」

「シシャとかワカサとは何ですか。動物ですか」

「いえ。何でもござんせん。失礼しました」

「それにしても、今日はとてもいい天気だね。宿のチェックインは14時以降だから、あと1時間遊んでいましょう。ルイ、私コンビニでこのスムージー買ったけど、飲みますか?」