もうそろそろの時分です-57

(ワシリイ主教の宿舎にて。)

 

「主教さま、いったい何を目の上に乗せていらっしゃるのです?」

「ああ、これ?」

「モップか何かにしか見えないのですが」

「目が疲れたときに乗せると、良いのです」

「えっ、てかそれカツラ!」

「そうです、当たりですね、由紀子さん」

「なぜまたそんなものをお持ちで」

「これを使っていた人がね、病気治ったものだから、代わりに私が使うことにしたよ」

「そうだったのですか……ああっと、どうぞ、お茶を」

「ありがとう」

「それにしてもこの鉢植え、」

「ああ。それは由紀子さんが受け取ってくれたのですね、ありがとう」

「いえ。私は別にいいんですけど、まあー見事にこの部屋に合わない~」

「私は気に入りました」

「お知り合いの方で?」

「Sorry?」

「このサボテン持ってきた女性の方。聖徒さんですか?」

「そうね。彼女、教会で働いてるよ。庭掃除とかね」

「主教さま、この鉢植えお持ちになるときは注意なさってくださいね。見てこのすごいトゲ。うわあー、ちくちくちくちくしてる」

「ハハハ。楽しいね、それ見ていると。私のこの部屋、ヨーロッパ風だけど、雰囲気が暗くて良くないでしょう?だからサボテンあるといいね、メキシコかどこかのようです。太陽見えます。これくれた彼女も太陽みたいな人だからね、由紀子さんもお友達になると良いです」

 

(ワシリイ主教、窓から外を眺める。黄色の長靴姿で庭掃除をする芽衣を見て、笑顔でお茶をすする。)