もうそろそろの時分です-60

(礼拝の10分ほど前。大聖堂内にて。)

 

「あなたMaryのお友達?以前、緊急連絡させてもらった人かしら?」

「ああ、はい、そうです。その節は」

「えっと、確かルイさん?」

「そうです類です。芽衣がいつもお世話になっております」

「何だか保護者の方みたいね」

「あははは。あの人ちょっと子どもみたいなところがあるから、つい」

「今までどこかの教会に通ってたのかしら?」

「はい。教派は違うんですけど……、聖ヴァシレイオスに」

「ああ、あそこ!まあいいんじゃない?せっかくこうしてお会いできたんだし、ゆっくりしていって。良かったら今後もちょくちょく来ていただいていいのよ、遠慮せずに」

「ありがとうございます。芽衣と一緒に参祷させていただきます」

「ところでMaryは」

「なんかあそこでお祈りしてるみたいなんですけど、あれ、あの長靴姿でいいんですか?」

「ホントだ。あたしちょっと注意してくる……Mary!」

「ん?何でしょう?」

「あなた何、その黄色い長靴」

「ああ。すみません、履き替えるのを忘れておりました。普段、これで庭掃除をしていまして」

「あなたも随分変わった子よね、頭にはきちんとショール巻いてるし、シャツにはアイロンかけてあってスカートにも皺ひとつないのに、なんで足もとだけ忘れて長靴なの」

「お婆ちゃんぽいでしょ」

「ハ?」

「ロシアの寒村にいそうなお婆ちゃん。憧れちゃうんですよねえ」

「まあ今回は見なかったことにする。時間もないから履き替えに行かなくてよろしい。主教さまがご覧になったら絶対笑うわよ、相変わらずアホなことやってるって。ああ、good timingね。主教さまいらしたーーー皆さん、ご起立願います!」