もうそろそろの時分です-61

(礼拝からおよそ1週間後。芽衣と類の家の前。)

 

「えっ。おひとりで来られたんですか?」

「うん。私、来ちゃったね」

「先日、駅から一緒に歩いたけど。よく迷わずおひとりで」

「私、記憶力いいもの」

「まあ私はアホですけど……」

「そうね。Mayはちょっとアホね。今日もその長靴履いている」

「あ」

「この前の礼拝で履いていたでしょう」

「よく見てらっしゃった」

「だって派手だもの、それ。何て言うのですか、反射板と言うものですか」

「ええまあ、闇夜に光ります」

「まあ神さまにはすぐに見つけてもらえるね。良かったね。ところでねMay、」

「はい」

「birthday presentをね、今日は持ってきました」

「そのためにわざわざ?」

「はい。なぜならワシリイ、年がら年中ヒマだから」

「年がら年中ってよくそんな単語を……いやあの、そんなことはないと思いますけども……」

「はい、これどうぞ」

「……ありがとうございます……、今、開けても?」

「Oh, sure, please. Go ahead,」

「それじゃ開け…………は?」

「嬉しいかな」

「あの………嬉しいんですけども、……なぜゆえミスター・ビーンのDVDなんでしょう」

「Let's just go back to the very basicsだね。何も考えずにね。それに春だしね。心愉快に、楽しく」

「………ありがとうございます。それであの、私、ワシリイ主教のお誕生日知らないので、もし……」

「5月5日だよ、」

「は?」

「うん。カークガードと同じ日ね」

「てか2週間後!」

「Yesですね。ワシリイ、あと2週間でまた一層中年になるね。ダイエットしないと」

「え、私、いやその主教さま、プレゼントは何がよろしいでしょ…」

「いりません」

「いやでも私がこうしてもらっておきながら」

「あなたがいればあとはいりませんね」

「いや、でも」

「May,」

「はい」

「I love ya, 」

「主教さ…」

「high fiveしましょう。はい、タッチ」

「……主教らしくねー…」

「今何と言いましたか」

「あ。いえ、何でも」

「DVD以外にもね。持ってきた物。ちょっと待ってね、この紙袋の中に……」

「You didn't!」

「いえ。いいのです。私がしたかったから。はい、小さいばらの花束」

「Sean,」

「さっき言ったね、I love yaって。それ、ウソじゃないよ。それじゃMay、私これで帰るね。また来週、教会で会いましょう。長靴履いているアホを、私楽しみに待ってます。それでは、ルイにもよろしく」

 

(ワシリイ主教、手を振って笑顔でその場を立ち去る。)