もうそろそろの時分です-64

(普段、聖書研究会の行われる教室にて。芽衣、類、シスターのグレース、そしてワシリイ主教がテーブルを囲んでいる。頭を抱える芽衣。)

 

「ねえ。大丈夫だって。早とちりじゃなくって、本当に芽衣の思ったとおりだったんだから……」

「やらかしまちた……とほほー……」

「あなたって怒るとほんと怖いのね、Mary」

「私も一緒に生活していながら、あそこまで怒る芽衣を見たことは」

「すみましぇん……ついカッとなって…」

「ルイ」

「はい、主教さま」

「Mayの思ったとおり、とは、どういうことだったのですか?」

「ああ。えーっとその……今日会った山下さんという人、私の高校時代のクラスメイトで。彼女はその、私が男性よりも女性のほうが好きだってことを知っていて。それで、『なんであなたみたいなのが教会にいるんだ』って、そういうことを言ってきて」

「そうでしたか」

「はい。だからこの人は勘違いなんかしていないし、突然怒鳴ったのは良くなかったかもしれないけど、でも私のことを気遣って」

「そうね。わかるよ。May、」

「…はい」

「助かりました。私、Mayにありがとうと言わないとね」

「でも。あの山下さんって人、もう聖書研究会には来なくなるんじゃ」

「その人、真面目な人には私思えないから、別に出席しなくていいと思うね」

「でも私のせいで教会の評価が下がったり、変な噂が立ったり陰口が出たり、皆さんに今後何かご迷惑があったりしたら」

「正しいことをして悪口言われたのなら、それはMayのせいでも私たちみんなのせいでもないね。自信持ちましょう」

「そうね、主教さまのおっしゃるとおり。Mary、あなたは今までどおり教会の仕事続けなさい。何も悪いことしてないんだから」

「シスター。あり…」

「あの。私が全部悪いんです」

「類さん。あなたが?なぜ」

「私がこの教会に来なければ。今までどおり、おとなしく引きこもってれば良かったんです。本当に、本当に申し訳ありませんでした」

「ルイ。また悲しいことを言うね。私、そんなふうに見てないよ。教会に来なければ、なんて、私そんな悲しいこと聞きたくないね。ルイ、あなたはここにいるべき人です。Mayと一緒に、できるだけたくさん、ここに来るべき人です。あなたもそう思うね、May?」

「はい」

「ほーらね。じゃあ、これで決まり、これで会議は終わりです。ああ私、たくさん考えてたくさん話したらお腹空いたね。皆さん、もし良ければ私と一緒に何か食べましょう。コンビニのサンドイッチでもいいですか?私、代表して買ってくるよ」