もうそろそろの時分です-68

「え。え。どゆこと?結婚って、え?」

「あたいと、類さんの、結婚でございます」

「だって芽衣、あなたは私と違ってそういう…」

「同性愛者であるという自覚や認識って、何なんやろか。【正しい】とされる同性愛者としての自覚や認識って、この世の誰が決めたんやろか。一人ひとりの心の中なんて、誰にも見えんのに」

「……」

「類たん」

「はい」

「あたいはね。類たんが将来、年取って病気になったときに、親族として面会に行ける人になりたいんですわ」

「でも芽衣、あなたはやっぱりだんせ…、その、ショーンさんみたいな人がいて、だからその、いくら何でも私が理由で将来を棒に振る必要は」

「そこ問題じゃないね。むしろ修道から逃げとるってことのほうが問題ね」

「ああ、その件もあったか…、」

「あとね。類、私はね」

「…はい」

「…ちょっと普段とは口調変わるけど。これが私だから、受け入れてもらえたらと思う。私はね、まあこれは主教さまにも打ち明けたけど、本当の私は類が日々見ているほど明るくもなければ、楽しくもない人間なの。ピエロやってるだけで」

「それっていうのは、あのやっぱり、ご両親との問題が理由で?」

「ピンポーン。ご名答。だって類も主教さまもだーれも、私の悲しい部分なんて興味ないだろうし、見たくないだろうし、見たら見たでみんな失望するでしょうし」

「そんなことは」

「そんなことってあるの、それが人間関係の【現実】なの。みんな私に失望して逃げる。いつもそういうことの繰り返しだった。だからね、もし類もそんな私が嫌だとしたら、私はこの家を出て行く」

「何言ってるの!」

「でもね、もし類が本当のダメダメな私を赦してくれるなら、私は喜んでここにとどまるし、ずっと類のお世話になるし、私も類をお世話する」

「……」

「シンプルなの。それだけなの。ああそうそう、【プロポーズ】のお返事はね、いつでもいいので。まあ、イヤならすぐに表情でわかるとは思うけ…」

 

(類、涙目で芽衣を抱きしめ、やがてわんわんと大泣きを始める。)