もうそろそろの時分です-69

(聖書研究会の教室にて。昼過ぎ。)

 

「これまでと何も変わりません。主教さまもずっと日本におられるでしょうから」

「May。私はどう答えて良いのかわからないね。私はそういうことを、全く予想していなかったのですから」

「はい。誰にも予想できなかっただろうと思います」

「May、あなたはルイのことを本当に…」

「私。類のことも、…Sean、あなたのことも、好きです。だから何も変わっていません」

「でもその【好き】というのは、恋愛の好きとは違うのですよね?以前、Mayは私のことを好きだと言ってくれた、今も言ってくれた、でもその好きというのはやはり」

「好きの中身をはっきりさせる必要があるでしょうか」

「……」

「私、以前申し上げたとおり、主教さまのことは一生後ろで支え続けます。ずっと主教さまのそばにいるし、主教さまのことを見ています。それから類のことも、一生支え続けるし、年を取って病気やケガをしたときには家族として看病できるよう、手続きをしておきたいんです」

「私、混乱してるね。何を言えば…」

「類のほうが私にとって大事だとか、そういうふうにはお考えにならないでください。主教さまよりも類のほうを優先するとか、そういうことではありません」

「でもMay。あなたはanchoressになりたいとずっと言ってきましたね。そのことと…」

「はい。私の負けです」

「負け?」

「はい。私、ひとりで遠くに行くことをやめました。主教さまと類のそばにいることを選びました。そういう意味で、私は負けました」

「May…」

「良い負け方だと思ってます。Sean,」

「Yes…」

「私はずーっと、そばにいますから。そこは信じてください。だからこれまでと何も変わることは…」

「May」

「はい」

「Can I kiss you for the last time?」

「This is not the end, Sea…」

 

(ワシリイ主教、芽衣の手を取り、テーブル越しに芽衣に口づける。)