月夜に狩る人、喘ぐ人。-2

5月中旬。満月の夜11時。

 

ヨーロッパ風の古ぼけた屋敷の1階にある、がらんどうの食堂。

 

長さ250cmほどのテーブルの両端に、ハーバートとリカコ・ストライピーが着席している。

 

テーブル中央には、燭台に刺された丸太まがいのろうそくが1本あるのみ。

 

星条旗柄のベストを着たピエロ男が入場する。右手には銀色の卓上呼び出しベルを持っている。

 

男はテーブルに近づくと、呼び出しベルを燭台のそばに置き、開戦のゴングを鳴らす。

 

「ご両者、さあさあ、ご自由に」。

 

ピエロ男は両腕を広げて合図をし、その後深々とお辞儀をして退場する。

 

舞台向かって左側にハーバート、右にはリカコ。

 

開戦ゴングとともに、ハーバートの前には彼の頭と同サイズのローストチキンが現れる。

 

リカコの前には、赤と白の縞々ストローを差したミルクセーキが現れる。

 

ハーバート、天井を睨みつけ、あごの先端を掻きむしり、叫ぶ。

 

「ナイフ!フォーク!!」

 

天井から1組のナイフとフォークが降ってくる。ハーバート、ナイフとフォークをキャッチし、ローストチキンの「処遇」に取りかかる。