月夜に狩る人、喘ぐ人。-5

リカコ、グリーンピースを1粒1粒皿の上で移動させ、への字顔を描く。

 

「オジサン、怪しい。執行猶予って何があったの」

入管法に引っかかった」

入管法?オジサン、もとはどこの人?」

「オジサンオジサン言うなや。俺は元難民だ。ルボール星から来た」

「ルボール星ってそんなに治安の悪いとこなの?」

「正確には難民ちゅうより政治亡命者だな、」

「え?」

「何だよその疑念に満ち満ちた声音は」

「だって、政治亡命って」

「俺が政治亡命者じゃ悪いのかよ」

「だって。あはははは。オジサンのその姿。まるでマンガチックなのに」

「見た目ですべて判断する気かお前は?お前だって何だ、その頭につけたリボンは。年中お祭り気分か?めでたいならもっと食え」

「それで何、迫害とか受けて逃げてきたの」

「はっ。青二才のお前に話したところで」

「宇宙史の授業ならいつもAプラス評価だったわよ、あたし。もちろん学年トップ」

「その代わり友達いなさそうだけどな」

「そんなこと言う必要ある?」

「まあいい。俺はな、ルボール星人全体の公共の福祉と幸福のために正義を貫いて、この惑星に避難する結果となった。だから裁判にかけられるなんていうのは本来、不当なんだ」

「でも入管法に引っかかったんなら仕方ないじゃない」

「裏で手を回してたんだよ、ルボールの大統領が!俺が到着する前にこの星の政府要人に賄賂を送って、入国審査のときに俺を網に引っかけやがったんだ。今でも思い出すだけで忌々しい、」

 

ハーバート、牡蠣をすべて平らげ、貝殻を足もとのバケツに乱暴に投げ込む。