月夜に狩る人、喘ぐ人。-7

「あなたって本当に不届き者。何考えてるの。前科あるのに懲りもせず、次の犯罪にゴーサイン出すって、何なの?ちょっと考え直したら良くない?」

 

リカコ、グリーンピースをひとつ指でつまみ上げると、親指と人差し指のあいだで転がす。

 

「これこそが俺の原動力なんだよ。俺の心の自家発電機が唸り声を上げてマッハ最高潮で生きている」

「何を言ってるんだか、ほんとイミフ。宇宙人みたい」

「宇宙人じゃないかよ俺は」

「そういえばそうだったわね、すっかり忘れてた。だけどそもそもあなた、なんで執行猶予つきでこの星の滞在許可を得たの」

「恩赦みたいなもんだわな、」

「恩赦?」

 

ハーバート、豆のサラダをサラサラと掻き込み、大きくゴクリと飲み込む。

 

「ねえ、ちょっともう少し良く噛んでから飲み込んだほうがいいんじゃない?胃腸に良くないわ」

「お前のほうがよっぽど体に害毒なことしとるわ」

「ほっといてよ。あたしが訊いてるのは、恩赦みたいってどういうことってこと」

「ストローネン王18世の元家庭教師が死んだじゃないか、最近」

「元家庭教師なら別に国王の身内でも何でもないじゃない。それって恩赦とは」

「お前知らないだろ、国王とあの家庭教師、デキてたんだぜ」

「まさか」

「そのまさかなんだよ。リンボルンってあの若い女国語教師、この惑星の王さまを誘惑したんだぜ。しかもストローネン国王ってヤツは実は読み書きがまるでダメでな、基本奥方に治世事業を丸投げしとる」

「それならむしろ、奥さんに頭上がらないじゃない。鼻の下伸ばして愛人のほうを見てばかりいるわけにはいかないじゃないの」

「IQ低いからなあの男は」

「それでなんであなたが【恩赦】」

「ああ。最初はな、愛人の存在を世間にリークしてやるって国王を脅迫してたんだよ、俺」

「あなたどこまで性根腐ってるの。しかもどういう経緯で、王室ともそんな関係を」

「そりゃ元亡命希望者だからな。アピール可能なことあアピールしまくるぜ。どんな【社交サークル】にも侵入してやる」

「脅迫したら亡命許可されないじゃない」

「いやだからな、そこは交渉術なんだよ。黙ってくれてればルボール星からこっちの星に無事引き渡して【特別待遇】してやるから、どうかここは内密に穏便に寛大に慈悲の心で見逃してくれと、あいつ俺に言ってきたね」

「でも、もしうまく行かなかったらって、考えなかったの?」

「男は博打打ってなんぼよ」

「教授の口から出る言葉とは思えないけどね、それ。まあ、無事滞在許可得られて良かったね」

「他人事みたいな口調だなお前は」

「だって、他人事だもん」

「まあそうだわな、お前にとってはメシにいったいどの人口香料が使われてるかってことが唯一の死活問題だろうからな」

 

リカコの目の前にミックスサンドひと切れが皿に乗って現れる。リカコ、ギョッとして身をのけぞらせる。