「掻き集めなきゃ。なくなっちゃう。あたしがなくなっちゃう、」
リカコ、両手で顔を覆い、ハーバートの前で泣き続ける。ハーバート、決まり悪そうに頭を掻く。
「あたしがバラバラ。てんでバラバラ。いない。いないの。こんなんだからダメなのよ、あたしは!」
リカコ、床にこぼしたすべての料理にフォークを突き刺して回る。食べ物のかすが右へ左へと飛び散っていく。
「き、れ、いな数字を並べないと!それから、き、れ、いな水!そうすればあたし、綺麗になれる。純粋になれる」
「数字と水だけで生きられるわけないだろう?なあ、食いたいものはないのか」
リカコ、ハーバートを見つめ、しばらく考え込んだのち、大声で答える。
「お子様ランチ!!」
リカコの叫び声に応えて、天井からお子様ランチセットがテーブルに落下する。デザートに添えられたプラスチック容器入りゼリーが、衝撃で宙に舞う。ハーバート、タイミング良くゼリーを受けとめ、お子様ランチのプレートに戻す。