月夜に狩る人、喘ぐ人。-16

リカコ、ハーバートがウエハースを片っ端から頬張るのを見て言う。

 

「あなただって何かしらの理由があってそうしてるんでしょ、」

「何をだ」

「その病的な大食い」

「俺は単に腹が満たされないからだ。みろ、この球体の腹を」

「お腹っていうか、あなたの全身そのものがひとつの球体だけどね。脚短いし」

「余計なお世話だ」

「ルボール星でのことと関係があるの?」

「あ?」

「言ってたじゃない。俺はあの星の公共の福祉と幸福のために云々かんぬんしてやったのに島流しだって」

島流しとは言っておらん、政治的亡命だ」

「政府に嫌われたという意味では同じようなもんじゃない」

「嫌われたんじゃない、俺が嫌ってやったんだ、」

 

ハーバート、ウエハースをひとつリカコに投げつける。

 

「1枚くらい食え、このすきっ歯案山子」

「すきっ歯じゃないわよあたし」

「お前の体、すきっ歯じゃねえか。鏡見てみろ、スッカスカだ」

「教えてくれたっていいじゃない、あたしだって少しは話したんだから。ねえ、なんでオジサンはそんなに食べ続けるの?」