どこからともなくオルゴールの曲が流れる。クマの人形、オルゴールに合わせてくるくる踊りながらハーバートに言う。
「ワタシニモ・オシエテクダサイ・アナタノヒミツ・ハーピーサン」
「ハーピーじゃねえよ俺は、」
リカコ、ウエハースを指先で弄びながら再度ハーバートにたずねる。ハーバート、仕方なしに話を始める。
「ルボール星はな、基本的に配給制の王国なんだよ、すべてではないにしろ」
「食糧が、ってこと?」
「ああ。とりわけ、主食には困らん。米、麦のたぐいにイモ類、草の根っこみたいなやつも含めてな」
「最低限のものは誰しも平等に与えられるってわけね」
「ああ。まあな。ただしそこは問題ではない、」
「じゃあ何が」
ハーバート、ウエハースを数十枚口に詰め込み、口の周りを粉だらけにしながら噛み砕く。小麦の粉と砂糖がテーブルに飛び散る。リカコ、顔をしかめる。
「栄養素の操作だ、」
「え?」
「王と役人が結託して、食料品中の栄養素を操作していた」
「何それ」
「ルボール星人全体を国王の都合に合わせて奴隷働きさせるために、脳からプロパガンダ操作することにしたのだ奴らは。書き換え操作ってやつだな」
「えー何それ、マジで?」
「おうよ。マジのマジの大マジよ。それを阻止しようとしたのがこの俺様だ。それで俺は国王・役人双方から嫌われて、お前の言うところの島流しとなった次第だ。どうだ、偉いだろう」