月夜に狩る人、喘ぐ人。-19

「ああ、お前の言うとおりだ、」

 

ハーバート、鮭のつけ合わせのフレンチフライとパセリを頬張りながら、レイノルズ教授に向かってうなずく。

 

「結構、凄惨な状況だったようだね」

「…まあな。プロパガンダっちゅう横文字だと格好良く聞こえるけどな、要は老若男女の区別なく全員洗脳ってのがあいつらの狙いだったからな。他人様のガキんちょがマインドコントロールされていくさまを見せつけられるのは、さすがの俺でもキツかったぜ」

「それでハーピーさん、大食に?」

 

リカコ、パセリを指先でくるくる回しながらハーバートにたずねる。

 

「んだから俺はハーピーじゃねえんだってば、確かにキュートな響きだけどよ、」

「質問の答えになっていないわ、ハーピーちゃん」

「おいリカコお前、張り倒されたいか?…まあいい、そうだ、俺のデカ食いはそうした心的ショックに起因するもので、基本的に歯止めが効かん、」

「ゴブラー教授、揚げ芋のおかわりはいる?僕も揚げ芋が好きで、奥さんともよく食べるんだよ」

「お前、自分が食いたいから俺におかわりはいるかって聞いてるだけだろ」

「ご名答。君がいらないなら僕、これからレストランへ食べに行くので、おふたりともこれ以降はご自由に。それではまたいつか、ごきげんよう

 

マーティン、「ハーピー」とリカコ双方に笑顔で投げキスをし、黒のウールのコートの裾をはためかせてその場を立ち去る。リカコ、パセリを口にくわえ、頬を赤らめ放心する。