「何をたわけたことを言っているんだお前は。いいか、俺が言うのも何だがな、そんなことをしてお前の婆ちゃんが喜ぶわ…」
そのときピンク色の子ブタが食堂にやって来る。その手には夕刊紙を持っている。子ブタはハーバートのもとに駆け寄り、彼に耳打ちしたのち新聞を渡す。
ハーバート、新聞の2ページ目、国際欄のトップ記事の見出しを見るなり、ヒステリックに笑い出す。
「これだ。こういう愉快な知らせを待っていたのだ俺は!」
リカコ、涙を拭き、不思議そうにハーバートを見る。
「…どうしたの?何か事件でも?」
ハーバート、腹を抱えて笑い続ける。
「…いやな、お前には直接は無関係のことなんだが、…アッハッハッハッハッ…」
「何?そんなに楽しいこと?ならあたしにも教えてよ」
ハーバート、笑いが過ぎて涙が出てくる。その涙を拭いながら、リカコに説明する。
「…あのな、これは勝利と言って良いかもな、」
「勝利?」
「ああ。聞いて驚くなよ、」
「あたしに直接関係のないニュースなら、聞いても別に驚かないと思うけど…」
「あのな、…死んだんだよ、ルボールの国王が」
「えっ?」
ハーバート、ケーキの生クリームがついたフォークの先を執拗に舐めつつ、話を続ける。
「正確にはな、まあ謀反ってやつか?栄養素の書き換え操作で洗脳された子どもたちがな、暴動を起こして王の城に乗り込み、王を追い詰めて殺害したらしいんだよ。いやあ、これは面白いことになったぞ?俺としてもすこぶる楽しくなってきたな」