あれは
僕
かの僕
遠く遠くの景色のなかへと
引き伸ばされ
引き離されていく僕
そしてここにいる僕は
深くて碧い 海底に引きずられ
口から気泡をぽこぽこ吐いて
ただ突っ立っている
さよならを言うべきだろうか、
それとも「待ってくれ」と金切り声で乞い
あの腕をねじり掴むべきだろうか
それとも
この重く固まってしまった両脚で歩いて行って
握手を求めるべきだろうか
わからない、
いまだに僕には答えは出せない
半分は諦めか、
それともゆらゆらまどろむ憧憬かーーー
僕は痛みが過ぎるのを独り待つ
そして絹生地のようにつかみどころのない歴史があるのなら
それらをこの海底にまとわせて
ただただあちらにいる僕自身を癒し
そっと触れてなだめてやりたいと思う。