あなたも知ってる若者たちさ!ー4

 
真理亜と奇留家が小声で立ち話をする一方、 中庭にいる家巣と灰出河教授は何やら機械製作のことで揉めている 。家巣、灰出河に繰り返し言う。


「いえ、ですからね教授。ニラとキャベツをですね、均等な幅に、それも可能な限り小さなサイズで切り刻めるような」


「回転刃だろ?」


灰出河教授、 額をポリポリ掻きながら鉛筆で大学ノートに何か記している。


「そうです、回転刃です。今、この試作品に付属している刃では、 垂直方向に裁断可能ではありますが…」


家巣、機械の目の前にひざまずき、 身振り手振りを交えながら説明を続ける。灰出河、 家巣には見向きもせずひたすらノートに向かう。


「灰出河教授!」


家巣、しびれを切らしてつい大声で教授の名を呼ぶ。灰出河、 顔を上げる。


「教授。僕の話、少しはお聴きになって…」


「聴いたとも、」


灰出河教授は鉛筆を芝生の上に放り投げ、 大学ノートをスッと家巣の前に突き出す。


「設計図だ。仮のものなので、 製作途上で修正が必要になるかもしれないが。歯と歯の間は0. 8mmのままでいいだろう。 円盤の直径は機械本体とのバランスを考慮して、 2cm減らしておいた。 それから回転速度が毎秒3回になるように、 円盤の材質と重量とを見直しておいた。 キャベツの芯の硬さ次第ではあるが、 ここに記した角度で円盤を本体に固定すれば、 回転刃が外れて飛んでいくという万が一のアクシデントも防げるは ずだ。それではまた翌週、トレーニングの日に。ごきげんよう


「ありがとうございます、教授!」


家巣、興奮気味に深々と頭を下げる。灰出河教授、 家巣とは全く対照的に、 表情ひとつ変えず風のようにその場を立ち去る。